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都会と田舎を結ぶ佐伯牧場

 私は、4年ほど前になるが、北海道東部に位置する内陸の町・中標津町という酪農の町で、これまでに見たことのない文化の香りを感じる農場を目の当たりにしたことがありました。
 この牧場は『佐伯農場』といって、背後にそびえる知床から連なる山々、広大な牧草地で草を食む牛や馬、そしてアクセントのように格子状防風林が広がる酪農地帯といった日本離れした恵まれた大自然の中に、本業の酪農以外に、敷地内に荒川版画美術館、帰農館、レストラン牧舎、東京むそう村を抱える文化スポットとして有名です。
 当時は、日本都市計画家協会北海道支部というところが主催した「地域環境ワイズユース(賢く使うという意味)大学フィールドセミナー2002 なかしべつスクール」の教室となったのがこの牧場の草原でした。
 晴天の青空に、目の覚めるような芝生のグリーン、エンジ色を貴重とした落ち着き洗練された建物デザイン、そして農場とは思えぬような歴史や風土・文化を伝える経営理念が深く印象に残りました。
佐伯農場
      ※写真は佐伯農場HPから借用
 また、その活動は牧場内にとどまることなく、中標津から摩周湖で有名な弟子屈町までの70kmをフットパスとしてつなぐという道民の度肝を抜いた壮大な構想(中標津に歩く道をつくる会)に積極的に関わっておられること、「『帰農館スタイル」という開拓団当時の優れた共同体による質の高い生産行為を強く意識し、「帰農館スタイル」と銘打ってオリジナルの家具の展示販売を行っていることなど、新しい時代への開拓精神の旺盛さが道民の共感を呼んでいます。
  「帰農館スタイル」は、地域の人と人とのつながりが希薄になった現在、よく引き合いに出される、19世紀アメリカの宗教的共同体「シャーカー」の優れた家具や農産品、手工業品製造をモデルにしての取組ということで、古き良き共同体の現代的な再生、北海道発のブランド形成に期待したいところです。
 この地域は、中標津空港が直近ということもあり、首都圏方面からの観光客や滞在者、移住希望者に非常に人気があり、実際定住した人口が多いことも文化の厚みに大きく貢献しているようです。