書籍「兼業・兼居のすすめ」(東洋経済新報社)
今、団塊世代の一斉退職と相まって「田舎暮らし」が大きく取り上げられています。
マスコミによる効果が大きいのでしょうが、移住、滞在、小旅行など様々な形で「豊かさを求める人」に焦点を当てた、うらやましくなるようなサクセスストーリーとして描かれています。
しかし、一方、夢の舞台としてもてはやされる「自然豊かな地方」は、その現状や限界が十分に知らされれていません。せいぜい自治体財政の破綻が騒がれているということぐらいでしょうか。
消費地優位で搾取される生産地、若者が流出し続け高齢者が増加し消滅を待つ農山漁村の集落、非常に根深い地元への無関心・・・・・。
海も山も農業も自然も多くの人たちが楽観しているあらゆる自然の恵みが、実は、疲弊する地方のなかで、かなりピンチの状態にあります。
田舎は、自然をはじめ、大切なものを預かり、守ろう!という田舎内外の人々の「草の根力」が結集されなければ、間もなく、破綻の道をたどるのはまちがいありません。
「豊かさを求める人」を対象としたお客様サービスはそこそこに、是非、田舎を目指す人に、「北海道の流儀」(元北海道副知事 磯田憲一さんの言葉)を学んでいただき、一日も早く多くの人たちの財産のために働いてもらう環境づくりが必要です。
こんなご時勢ゆえ?かどうかは分かりませんが、この問題を社会全体のシステムの欠陥として切り込んだ爽快な本が2006年3月に出版されていますので、ご紹介したいと思います。
人の「豊かさ」から、「よりよく生きる」社会システムへ、という視点から、「生きるためにそこそこに働き、みんなが幸せになれる社会を作ってみませんか」、という新鮮な問題提起がされています。
「みんなでやれば怖くない」という発想が面白いと思います。
書名「兼業・兼居のすすめ」
玉田 樹 著
東洋経済新報社 発行 2006年3月30日
定価:本体1,800円+税 A5判・268ページ
【主要目次】
はじめに
序章 国民の価値観が変わった
第1章 3割“兼業”のすすめ
1 天下分け目の関ヶ原
2 企業の競争力と雇用問題
3 “働き方”をめぐる意識変化と課題
4 3割兼業システムの構築
5 兼業システムの効用
6 兼業システム構築のための課題
7 兼業社会を駆動するパワー
8 65歳定年延長を奇貨した兼業システム導入
第2章 地方“兼居”のすすめ
1 少子高齢社会の住まい問題
2 地方の住まい問題
3 マイホームに代わる住まい方
4 兼居社会の構築
5 兼居社会がもたらす地方の活力
6 兼居社会がもたらす地方財源の復元力
7 兼居社会構築のための課題
8 大都市住民を兼居実行に導くパワー
9 兼居社会の構築に向けて
第3章 「豊かさ」の終焉、「よりよく生きる」価値観への転換
1 価値観の歴史的転換と構造改革
2 不安と“国”不信の増幅
3 95年を境とした不安の蔓延と国家不信
4 “だったら、自ら不安を解決しよう”パワーの胎動
5 「豊かさ」の終焉、「よりよく生きる」へのパラダイム転換
第4章 「よりよく生きる」社会の設計原理
1 新しい価値観にもとづく社会設計
2 阪神・淡路大震災をケースとした「よりよく生きる」社会モデル
3 河口堰をケースとした「よりよく生きる」社会モデル
4 「自助」を通じたチャレンジの場の確保
5 「公助」とリスクのバランス
6 リスクレスからリスクテイク社会へ
第5章 同時多発の社会構造改革
1 価値観転換にあわせた社会の構造改革
2 安全と「よりよく生きる」社会モデル
3 安心システムと「よりよく生きる」社会モデル
4 教育と「よりよく生きる」社会モデル
5 個々人の能力が最大限に発揮できる社会
第6章 地方の「自助」メカニズムの創設
1 「よりよく生きる」価値観と地方問題への新しいアプローチ
2 英和と利益の減少が続く地方圏
3 「豊かさ」のための地方“開発”の限界
4 地方の再投資循環構造の欠落
5 地方再生の仕組み
6 子育てをめぐる地方交付税改革
7 地方の子育てメカニズムの創設
第7章 期待される団塊世代パワーの再登場
1 「よりよく生きる」社会変革を駆動するパワー
2 ヌエのような団塊世代
3 団塊世代をその気にさせる政党の出現